はたらく人のがん検診ガイド

職域におけるがん検診
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胃がん検診のためのチェックリスト

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解説

① このチェックリストの対象は、委託元(保険者・事業者等)との契約形態にかかわらず、実際に検診を行う個々の検診実施機関(医療機関)である。

② 二重読影と比較読影を外部に委託している場合は、委託先の実施状況を把握すること。

1. 対象者への説明

解説

① 下記の9 項目を記載した資料を、検診実施機関に来場した対象者全員に個別に配布する
(ポスターや問診票など持ち帰れない資料や口頭説明のみは不可とする)

② 資料は検査を受ける前に配布する

※委託元(保険者・事業者等)が対象者への受診勧奨時に資料を配布する場合もある。その場合は、資料内容をあらかじめ確認し、下記の9 項目が含まれている場合は、検診実施機関からの配布を省いてもよい

(1) 検診結果は「精密検査不要」「要精密検査」のいずれかの区分で報告されることを説明している
(2) 検診結果が「要精密検査」となった場合には、必ず精密検査を受ける必要があることを説明している
(3) 精密検査の方法を説明している

※胃がん検診の精密検査として説明する内容(検査別)
・胃部エックス線:胃内視鏡検査を行うこと、及び胃内視鏡検査の概要
・胃部内視鏡:生検または再度の胃内視鏡検査を行うこと、及び生検の概要

(4) 精密検査結果を把握すること、また他の医療機関に精密検査を依頼した場合は、検診実施機関がその結果を共有することを説明している

※精密検査結果は、個人の同意がなくても、当該検診実施機関に対して提供できる
(個人情報保護法の例外事項として認められている)

(5) 検診の利益を説明している
・胃部エックス線検査及び胃内視鏡検査による胃がん検診は、死亡率減少効果があること
(6) 検診の不利益を説明している
・がん検診で必ずがんを見つけられるわけではないこと(偽陰性)
・がんがなくてもがん検診の結果が「要精密検査」となる場合もあること(偽陽性)など
(7) 利益と不利益のバランスから、国で推奨されている検診受診間隔は2 年に1 回であり、継続的な受診が重要であることを説明している

※ただし当分の間、胃部エックス線検査については、1 年に1 回受診しても差し支えない

(8) がん検診結果が「精密検査不要」でも何らかの症状がある場合は医療機関の受診が重要であること、検診はその代わりにはならないことを説明している
(9) 胃がんがわが国のがん死亡の上位に位置することを説明している

2. 問診、胃部エックス線撮影、または胃内視鏡検査の精度管理

解説

下記項目の「仕様書」とは、委託元(保険者・事業者等)との契約時に委託元に提出する書類のことである。仕様書の形式でなくとも何らかの形で委託元に報告していればよい

(1) 検診項目は、問診に加え、胃部エックス線検査または胃内視鏡検査のいずれかを行っている

※受診者に、胃部エックス線検査または胃内視鏡検査のいずれかを選択させる

(2) 問診では、現在の症状、既往歴、家族歴、過去の検診の受診状況等を聴取している
(3) 問診記録は少なくとも5 年間は保存している
(4) 胃部エックス線撮影の機器の種類は、日本消化器がん検診学会の定める仕様基準注1を満たしていて、機器の種類を仕様書に明記している
(5) 胃部エックス線撮影の枚数は最低8 枚とし、撮影枚数を仕様書に明記している
(6) 胃部エックス線撮影の体位及び方法は日本消化器がん検診学会の定める方式注1によるものであり、体位及び方法を仕様書に明記している
(7) 胃部エックス線撮影において、造影剤の使用に当たっては、その濃度を適切に(180~220W/V%の高濃度バリウム、120~150ml とする)保つとともに、副作用等の事故に注意している
(8) 胃部エックス線撮影に携わる技師は、日本消化器がん検診学会が認定する胃がん検診専門技師の資格を取得している

※この項目は胃部エックス線検査に技師が携わる場合に必要

(9) 委託元(保険者・事業者等)から求められた場合、胃部エックス線撮影に携わる技師の全数と日本消化器がん検診学会認定技師数を報告している

※この項目は胃部エックス線検査に技師が携わる場合に必要

(10) 胃内視鏡検査の機器や検査医等の条件は、日本消化器がん検診学会による胃内視鏡検診マニュアル注2 を参考にし、仕様書に明記している

3. 胃部エックス線読影の精度管理

(1) 委託元(保険者・事業者等)から求められた場合、読影医全数と日本消化器がん検診学会認定医数もしくは総合認定医数を報告している
(2) 読影は二重読影とし、原則として判定医の一人は日本消化器がん検診学会認定医もしくは総合認定医である
(3) 二重読影の所見に応じて、過去に撮影したエックス線写真と比較読影している
(4) 胃部エックス線画像は少なくとも5 年間は保存している
(5) 胃部エックス線による検診結果は少なくとも5 年間は保存している

4. 胃内視鏡画像の読影の精度管理

(1) 胃内視鏡画像の読影は、日本消化器がん検診学会による胃内視鏡検診マニュアル注2を参考に行っている
(2) 胃内視鏡検診運営委員会(仮称)、もしくはそれに相当する組織が設置する読影委員会により、ダブルチェックを行っている

※ダブルチェックとは、内視鏡検査医以外の読影委員会のメンバーが内視鏡画像のチェックを行うことである。
ただし、専門医※※が複数勤務する医療機関で検診を行う場合には、施設内での相互チェックをダブルチェックの代替方法とすることができる注2

※※専門医の条件(資格)は下記(3)参照

(3) 読影委員会のメンバーは、日本消化器がん検診学会認定医もしくは総合認定医、日本消化器内視鏡学会専門医のいずれかの資格を取得している
(4) 胃内視鏡画像は少なくとも5 年間は保存している
(5) 胃内視鏡検査による検診結果は少なくとも5年間は保存している

5. システムとしての精度管理

(1) 受診者への結果の通知・説明、またはそのための委託元(保険者・事業者等)への結果報告は、検診受診後4週間以内に行っている
(2) がん検診の結果及びそれに関わる情報について、地域保健・健康増進事業報告に必要な項目を委託元(保険者・事業者等)に全て報告している

※例:胃がん検診要精密検査者数(検査別)
・胃部エックス線:読影判定区分(カテゴリー分類)がカテゴリー3a 以上の者注1
・胃部内視鏡:部位や目的に拘らず検診時に同時生検を行ったすべての者と、ダブルチェックで検診結果区分が 「胃がん疑い」となった者のいずれかに該当する者注2

(3) 精密検査方法及び、精密検査(治療)結果について、地域保健・健康増進事業報告に必要な項目を把握している

※内視鏡診断や生検結果、内視鏡的治療または外科手術所見と病理組織検査結果など

(4) 撮影や読影向上のための検討会や委員会(自施設以外の胃がん専門家※※を交えた会)を設置している

※胃内視鏡では、胃内視鏡検診運営委員会(仮称)、もしくはそれに相当する組織を指す

※※当該検診実施機関に雇用されていない胃がん検診専門家

(5) 自施設の検診結果について、要精検率、精検受診率、がん発見率、陽性反応適中度等のプロセス指標値を把握している
(6) プロセス指標値やチェックリストの遵守状況に基づいて、自施設の精度管理状況を評価し、改善に向けた検討を行っている

注1 胃部エックス線撮影法及び撮影機器の基準は、日本消化器がん検診学会発行「胃がん検診のための胃X 線検査マニュアル2025 改訂第3 版(2025)」を参照。

注2 日本消化器がん検診学会発行「対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル」(2024 年発行)参照。

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