はたらく人のがん検診ガイド

職域におけるがん検診
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子宮頸がん検診のためのチェックリスト

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解説

① このチェックリストの対象は、委託元(保険者・事業者等)との契約形態にかかわらず、実際に検診を行う個々の検診実施機関(医療機関)である。

② 検査を外注している場合は、外注先施設の実施状況を把握すること。

1. 対象者への説明

解説

① 下記の9項目を記載した資料を、検診実施機関に来場した対象者全員に個別に配布する (ポスターや問診票など持ち帰れない資料や口頭説明のみは不可とする)

② 資料は検査を受ける前に配布する

※委託元(保険者・事業者等)が対象者への受診勧奨時に資料を配布する場合もある。その場合は、資料内容をあらかじめ確認し、下記の9項目が含まれている場合は、検診実施機関からの配布を省いてもよい

(1) 検診結果は「精密検査不要」「要精密検査」のいずれかの区分で報告されることを説明している
(2) 検診結果が「要精密検査」となった場合には、必ず精密検査を受ける必要があることを説明している
(3) 精密検査の方法を説明している

※子宮頸がん検診の精密検査として説明する内容
・検診結果に基づいて、コルポスコープ下の組織診や細胞診、HPV検査などを組み合わせた検査を行うこと、及びこれらの検査の概要

(4) 精密検査結果を把握すること、また他の医療機関に精密検査を依頼した場合は、検診実施機関がその結果を共有することを説明している

※精密検査結果は、個人の同意がなくても、当該検診実施機関に対して提供できる
(個人情報保護法の例外事項として認められている)

(5) 検診の利益を説明している
・子宮頸部細胞診による子宮頸がん検診は、子宮頸がんの死亡率・罹患率減少効果があること
(6) 検診の不利益を説明している
・がん検診で必ずがんを見つけられるわけではないこと(偽陰性)
・がんや前がん病変がなくてもがん検診の結果が「要精密検査」となる場合もあること(偽陽性)など
(7) 利益と不利益のバランスから、国で推奨されている検診受診間隔は2年に1回であり、継続的な受診が重要であることを説明している
(8) がん検診結果が「精密検査不要」でも何らかの症状がある場合は医療機関の受診が重要であること、検診はその代わりにはならないことを説明している
(9) 子宮頸がんの罹患は、わが国の女性のがんの中で比較的多いこと及び、近年の罹患や死亡の動向などを説明している

2. 問診、細胞診の検体採取の精度管理

解説

下記項目の「仕様書」とは、委託元(保険者・事業者等)との契約時に委託元に提出する書類のことである。仕様書の形式でなくとも何らかの形で委託元に報告していればよい

(1) 検診項目は、問診、視診に加え、産婦人科医師による子宮頸部および腟部表面からの検体採取による細胞診を行っている
(2) 問診では、月経の状況、妊娠中の場合は妊娠週数、分娩歴、性交経験の有無、不正性器出血等の症状の有無、過去の検診受診状況等を聴取している
(3) 問診の上、症状のある者には、適切な医療機関への受診勧奨を行っている
(4) 問診記録は少なくとも5年間は保存している
(5) 視診では、腟鏡を挿入し、子宮頸部の状況を観察している
(6) 細胞診の方法(従来法/液状検体法、採取器具)を仕様書に明記している
(7) 検体採取は、直視下に子宮頸部及び腟部表面の全面擦過により細胞を採取し注1、迅速に処理している

※採取した細胞は直ちにスライドグラスに塗抹して速やかに固定すること。
または、直ちに液状化検体細胞診用の保存液ボトル内に撹拌懸濁し固定すること

(8) 細胞診検査の業務(細胞診判定も含む)を外部に委託する場合は、その委託機関(施設名)を仕様書に明記している
(9) 検体が不適正との判定を受けた場合は、当該検診機関で再度検体採取を行っている

※不適正例があった場合は必ず再度検体採取を行うこと。
また不適正例が無い場合でも、再度検体採取を行う体制を有すること

(10) 検体が不適正との判定を受けた場合は、当該検診機関でその原因等を検討し、対策を講じている

※不適正例があった場合は必ず原因を検討し対策を講じること。
また不適正例が無い場合でも、対策を講じる体制を有すること

(11) 検診結果は少なくとも5年間は保存している

3. 細胞診判定の精度管理

(1) 細胞診判定施設は、公益社団法人日本臨床細胞学会の施設認定を受けている、もしくは、公益社団法人日本臨床細胞学会の認定を受けた細胞診専門医と細胞検査士が連携して検査を行っている注2
(2) 細胞診陰性と判断された検体は、その10%以上について再スクリーニングを行い注2、再スクリーニング施行率を報告している

※委託元等から再スクリーニング施行率の報告を求められた場合に報告できればよい。
また公益社団法人日本臨床細胞診学会の認定施設においては、再スクリーニング施行率を学会に報告すること

(3) 全ての子宮頸がん検診標本の状態について、ベセスダシステム注3の基準に基づき、適正・不適正のいずれかに分類し、ベセスダシステム注3の基準で細胞診結果を報告している

※必ず全ての標本について実施すること。一部でも実施しない場合は不適切である

(4) 子宮頸部上皮内腫瘍3(CIN3)、子宮頸部上皮内腺がん(AIS)、子宮頸部浸潤がん発見例は、過去の細胞所見の見直しを行っている

※CIN3、AIS、子宮頸部浸潤がんの発見例については必ず見直すこと。
また、これらの発見例が無い場合でも、見直す体制を有すること

(5) 標本は少なくとも5年間は保存している

4. システムとしての精度管理

(1) 受診者への結果の通知・説明、またはそのための委託元(保険者・事業者等)への結果報告は、検診受診後4週間以内に行っている
(2) がん検診の結果及びそれに関わる情報について、地域保健・健康増進事業報告に必要な項目を委託元(保険者・事業者等)に全て報告している

※例:子宮頸がん検診要精密検査者数
・子宮頸部細胞診:ベセスダシステムによる分類がNILM以外注3

(3) 精密検査方法及び、精密検査(治療)結果について、地域保健・健康増進事業報告に必要な項目を把握している

※精密検査の際に行ったHPV検査、子宮頸部の細胞診や組織診の結果、手術によって判明した病理組織検査結果や臨床進行期など

(4) 診断・判定の精度向上ための症例検討会や委員会(自施設以外の子宮頸がん専門家あるいは細胞診専門医を交えた会を交えた会)を設置している

※当該検診機関に雇用されていない子宮頸がん検診専門家あるいは細胞診専門医

(5) 自施設の検診結果について、要精検率、精検受診率、CIN3以上発見率、CIN3以上の陽性反応適中度等のプロセス指標値を把握している

※CIN3以上とは、子宮頸部上皮内腫瘍3(CIN3)、上皮内腺がん(AIS)及び子宮頸部浸潤がんを指す

(6) プロセス指標値やチェックリストの遵守状況に基づいて、自施設の精度管理状況を評価し、改善に向けた検討を行っている

注1 一般社団法人日本婦人科がん検診学会 子宮頸部細胞採取の手引き参照。

注2 公益社団法人日本臨床細胞学会 細胞診精度管理ガイドライン参照。

注3 ベセスダシステムによる分類:The Bethesda System for Reporting Cervical Cytology second edition 及びベセスダシステム2001アトラス 参照。

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